なんだ!この奇妙な小説は!「宇宙のランデブー」

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ランデブー

サイエンスフィクション、SF小説読んだことありますか?

ぼくは最近1950年代〜80年代くらいのSF小説を読んでいます。というのも電子書籍端末を買ったので、今まで読みたかった絶版本でも、手に入るようになったこともあります。

この時代のSF小説は、未来にこんな便利なものができて、こんな異星人が責めてきて、倒して、というような、なんとなく「お馬鹿な」お話ではありません。こんな技術ができたら社会はどう変わってしまうのか(人間の家族形態は?、宗教は?)など私達の常識の変化について書いてある作品が多い。だから面白いのです。SFファンの間では黄金期と呼ばれているらしいです。

そんなSF黄金期から、今回はアーサーCクラークの『宇宙のランデブー』について紹介します。
2030年、地球の近くを円筒形の物質が通過します。この円筒形の物質は、磨かれているのかキラキラと光っていて、円盤は真っ平。円盤の半径はなんと7kmもあります。こんな奇妙で巨大な構造物が自然にできるはずがありません。

「これは異星人が作った宇宙船なのではないか?」

そう思い、地球人はこの円筒形物質(名前を「ラーマ」と名付けた)に宇宙船「エンデバー号」を飛ばして、調査にいきます。

ラーマにたどりつくと、ラーマはゆっくりと回転しながら、太陽にむかって進んでいることがわかります。ラーマの中に進入してみると、この回転の意味がわかります。ゆっくりと回転することによって、遠心力、つまり仮想的な重力を作り出していたのです。

円盤の中央付近から進入した地球人は、はじめ無重力なのですが、階段をおりていくと少しずつ遠心力により、重力が作り出されていくのを感じます。また階段の幅も、重力に合わせて上り下りしやすいような間隔になっています。よくできています。

調査を続けていくと、ラーマは30万年くらいたっていて、中に生物がいないことがわかります。様々な装置のようなものが発見されますが、地面にへばりついていて、動かすことができませんし、なんのための装置だかもさっぱりわかりません。そしてあらゆる物が「3つ」ずつあります(中心部から伸びている階段も120°間隔で3つありました)。

地球人がラーマを調べていると、氷の海がありました。水があったのです。また円筒形の後方には高くてなめらかな壁があります。前方にはありません。ここで科学者は気が付きます。

「もしかしたらこの壁は、ラーマが加速したときに海が慣性によってよじ登るのを防ぐ役割をしているのではないか・・・」

様々なものが物理的に意味のあるような配置されていることに気が付き、もっと調べたい地球人でしたが、ラーマは太陽に落ちていく起動をとっています。少しずつラーマ内部の温度も上昇してきて、地球人はしかたなく、はしごをのぼって宇宙船に戻っていきます。しかしそのときです。明かりが「バババババ!!!」っとつき、氷の海が溶け始め、まさに海になります。ラーマがこのとき活動をはじめたのです。

「ラーマはまだ生きているのかもしれない・・・」

地球人はラーマ中央の無重力のところをうまく使って、その部分にグライダーのようなものを飛ばして、ラーマの内部をさらに調査していきます・・・。

まだまだ続きますが、こんなお話です。「3」という数字にも意味があるのがわかっていきます。ワクワクしませんか!?恋愛沙汰一切なし、とにかくラーマ人と地球人との科学力の差にあっとうされる、そんなお話です。最後まで結局ラーマが何だったのかわかりません。でも、ワクワクしっぱなし!興奮の嵐!

作者のアーサーCクラークは、『2001年宇宙の旅』が代表作かもしれません。通信衛星を考え出し、王立科学協会で発表した科学者でもあります。こんなに面白い作品がざくざく眠っている1950〜80年代の本に目がはなせません。

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